水をテーマにお話をするとき、水道の水は暮らしの中で最も身近な水になります。以前にも少しお話しましたが、実は水道の水を安心して飲むことができる国は決して多くはありません。そこで、まず初めに水道水とミネラルウォーターの根本的な違いについてお話ししたいと思います。
◆日本の水道水とミネラルウォーター◆ (取材協力:奈良県水道局)
日本の水道水は「水道法」をはじめ関連の法律や指針によって厳密に管理されています。これらの法律は、水道水を飲んだ人に健康被害がないよう水道品質を維持するための検査項目と基準値(有害な物の規制)を定めています。具体的には、大腸菌などの病原菌、カドミウムなどの重金属に化学物質。また、水をキレイにするプロセスで発生する消毒副生成物、色や味覚を大きく左右するものなど51の検査項目があります。そしてこの中でカルシウムやマグネシウムの量(硬度)も、300mg/L以下と決められています。
これに対し「ミネラルウォーター(殺菌または除菌あり)」の検査項目(改定後、最大)は39項目。同じミネラルウォーターでも「殺菌、除菌していない」ものについては16項目に簡略化されています。また「ミネラルウォーター」として販売されている水の中にも、ミネラル成分が水道水以下のものもあります。
ですからミネラルウォーターを買う時には必ずラベルに書かれている「成分表」を見て頂きたいのです。硬度が300mg/L以下であれば、水の中のミネラル成分に関しては水道水と変わらない、ということになります。